クロッキーブックの彩雲

「君は泣くふりも素敵だ 姿のいいひとよ」

人気のパン屋、夕方

トングとトレーを装備した人々の行列の合間
遠巻きにちょっと面白い後ろ姿を見た

メルトン?みたいな、厚手のPコートっぽい生地の黒アウター、だけど丈がジャストウエストまでしかない
ボトムは張りのあるカーキのスカート、バサッとした生地たっぷりで広がってるが、エレガントなAラインではない、ひとクセある、パッと見落下傘をイメージするような形
フードの裏地が迷彩で、持ってるバッグも迷彩をあしらってあって、スカートとテイストを揃えてある感じ
足元は黒タイツに黒スニーカー、靴紐に銀のラメが散っていた

それにしてもこのアウター、これほど厚手生地にも関わらず、ものすごいジャストサイズ感で、中に何か着ているとは思えない…ものすごい細身なのかな??
それにスカートとの境目もやたらしっかりくっついて見える…

…もしかしてこれ、まさかウエスト切り替えのワンピース??
いやいやまさか!だって上半身がガッツリアウター素材のワンピって、やりにくくない??温度調整とか…
やっぱこの丈このサイズ感でも、どう見てもアウターよね多分…

などなど、ささやかながら、一瞬ではとても把握できないナゾのスタイル
たまにこういう、えっそれ何がどうなってるの??ってなって見てしまう人がいる
ナゾって、誰しも惹かれてしまうものですよね…

そしてたいていナゾは解けないまますれ違っていく(大したナゾでもないけど)
でもこの人はナゾなだけでなくめっちゃ素敵だった

かなり寒い日でした

バッグはうろ覚えでやんす

双子コーデ?双子のコーデ?

双子コーデを見るのが好きである

それは多分Perfumeが好きなのと関連してるし、Perfume好きなのは遥かいにしえの折、シュークリームシュが大好きだったことと関連している
(シュークは米米がバカ売れし出した頃には2人になって米米の中に組み込まれていたが、世に出た頃は3人組で、わしはその途中で抜けたサトミちゃんを殊の外崇拝していた)

それはさておき、要するに2人以上で同じ格好をしてるのを見るのがとても好きなのである

もっと言えば、向こうから歩いてくる2人組ないし3人組の服が極端に似通っている時、この人らの間で今「イケてる」扱いのスタイルが「これ」であり、みんなそれを「イケてる!」と思ってやってるんだなと思うだけで、なんか微笑ましいというか、彼らの中のブームとそれにはしゃいでる感じが伝わってきて、楽しくなってくる
さらにはその「イケてる」アイテムやコーデをグループに提案するイニシアチブ担当者はどれか、などを想像したりする

今は仲良し同士の双子コーデは普通だろうから、彼らの間の力関係を推し量るなどのゲスな勘ぐりはお門違いというものであろーが、昔はホントに、つるんでる同士が意図してない(と思われる)のに同じ格好、ってのがよくあった
仲良しのうちの誰かが着てきたそれを見て、イイね!と思ったのが潜在的にお互い影響し合って、結果しょっちゅう服がかぶってる仲良し3人組、とか…楽しくない…?見てて…

…ま、そんなのは余剰概念なので置いといて…

久しぶりに目の覚めるような双子コーデを見た

最初はキャンペーンの人とか、コスや何かの出し物の人かと思った

でも遠巻きに眺める限り、それらしきアイテムも見えず、2人でスマホ見ながらのんびり話し合う姿は、単に街に出てきただけの人っぽい風情しかなく…

ふわふわモヘアっぽい綾織りのような畝のあるコクーンなコート、総花柄のブーティ、猫?かリボン?か何かのモチーフのエナメルっぽいバッグ
何から何まで同じ格好で、違うのは髪色と頭の大きなリボンの左右だけ

ていうか、肌の白さといい色素の薄い目元といい、ほぼ同じ顔だったので、多分ホントに双子だったと思う
そしてたまにこういう双子いる、双子であることをもう芸、アイテムにして楽しんでる人々

最近「おそろい」「おそろ」って聞かんくなったね…

最近「おそろい」「おそろ」って聞かんくなったね…

梅雨の逆光

晴れたり曇ったり雨が降ったり、を目まぐるしく繰り返す、蒸し風呂のような日
よく冷えたカフェの中、陽光溢れる窓を背に、友達と順番待ちをする人

オーバーオール=鶴瓶ではなくなって久しい

ゴワッと張りのある濃いデニムのオーバーオール(と言いたい)、とんでもなく太いパンツは、逆光の中ほとんど真っ黒に見えた
特にキラキラもしていないペンダントをさげ、目の粗いストール的なものを首に巻いている
全体的に「いっときよう見たけど、最近ちょっと見なくなってきた」感じなのに、目がとまったのは、なーんかシルエットとかが絶妙でな〜〜
どっか一箇所間違えただけでダダスベリしそうなアイテム満載、でも組み合わせ方が上手いんやろーなあ〜〜

そういや白Tは大きくもなく小さくもなくジャストサイズで袖を折ってて、そこらへんがダサくならんコツかもしれん、知らんけど
バッグはDEAN&DELUCAのストロートート、いつもの帆布とは違うのでこれも目を引いた

時たま土砂降りになっては陽が射す、みたいな日で、他のお客さん達の持ってる紙袋もみんなビニール袋をかぶっていた
この雨除けビニールも当たり前になってきたね

青の人

梅雨の湿気で蒸されるような夕方
薬院の雑貨屋に、彼氏だか旦那さんだかと来ていた人

クシャッと加工されたストローハット、つばの縁にはざっくりペイントされた白ライン
綿麻混?のような、やや張りがあってふわぁっと空気をはらむような薄手のトップス
抜けるような濃い青で、パフスリーブというか、羽のような袖
太いベルトでウエストマーク、ボトムはハイウエストのダボッとしたデニムで、フラップポケットつき
足元はグレーの厚手ソックスとスポーツサンダル、四角いかごバッグからは羽織ものらしきサマーニット風の何かが垂れていた

blue×blue

女性らしいスタイルにスポーツサンダルってのをちょいちょい見かける
この人も、首に見える華奢なチェーンとは一見アンバランスなようなサンダルだったけども、ショッピングで歩き回るのにもちょうどよさそう
実際、連れと2人であっちこっち目移りして楽しそうだった

それにしてもこの組み合わせは度胸がいるよね…
見かけただけで蒸し暑さも忘れる清涼感、ここまで鮮やかにやってのけちゃう人もいる

彼の地

数年前に聞いた話

首都圏で流行ったファッションが九州に到達する時、どこが一番最初か?

まあ当然福岡やろーと思ったら、実は熊本らしい

首都圏の売れ筋が福岡規模の商圏でも当たるかどうかを検証するために、まず熊本に持ち込んで反応を見る、とか

これは一部では有名な話で、首都圏どころか海外のファッションも熊本が最初、という説もあるらしい、が、真偽の程は分からない
とはいえ、そういう話が広まるというのは、熊本人のオサレ意識が非常に高いという現実が実際にあるため、なんやろーなあ、と思った

で、その後
今からちょうど3年前のこと
家族で熊本へ旅行に行った際、個人的に非常に楽しみであった
やっぱり街には目を引くオサレさんが多いのかな?と

そんな目で街行く人を見れば、いるわいるわ、なんてことない格好の中に、ちょっと気の利いたシルエットだったりワンポイントだったり、というアイテムをお召しの方々があっちゃこっちゃ

 

ちぎらちゃん

市電を待ってる時に、向かいの乗り場にいた人
軽やかなピンクベージュのトレンチの中にボーダーのミニワンピ
足元は緑ベルベットのウェッジパンプス、なぜか古着屋で買ったもののように見えた
そして上條淳士「sex」のちぎらちゃんばりのくるくるカールの髪
今では珍しくもなくなったこのテのアラレちゃんメガネ、2013年頃に福岡で堂々とかけてる人、おったかな…

 

主将のオーラ

コンビニで見かけた、やたら強そうな人
すごく真剣な眼差しで、おやつの冷ケースをギロギロ睨んでいた
キリッと結い上げた黒髪と、大判ショール
ヒールだけ白い黒のハイヒール
黒ショートパンツでどーんとあんよを出しているのに、色気というよりそのままトラックを走り出しそうな風情であった

他にもおっ!と思う人はいろいろいたけれど、この2人はなんというか、着こなしみたいな意味合いで、福岡では見かけたことがないような雰囲気だった
若い子ならみんな着てるとか、いろんな服屋で目につくとか、そういう「安定感」「鉄板」とは無縁の感じ、どうかしたらケガしかねないようなチョイス
にもかかわらず、恐ろしく堂々としていた

※※※

さらに昨年9月
霧島に山口晃の展覧会を見に行った帰りしに、熊本で晩ご飯にした
ちょっと寄ったコンビニで見かけた女子、連れ同士ではなかったが、どうしたもんか2人ともカーキのガウチョパンツであった

カーキ女子

去年は秋の訪れが妙に早く、とはいえニットはさすがにまだ見かけない時期に、あっさりとニットを着ていた明るめボブの人
オレンジ×カーキの定番組み合わせ、コンパクトな白パイピングのバッグ、ベージュの太ヒールというなんちゃないおにゃのこ服ではあるが、黒のソックスが妙に目につく
このおかげで、なんだかガクッと崩されたような感じ

かたや、バタバタとお茶を買って出て行った、OL風の人
ふわふわの髪をピンクオレンジの髪飾りでまとめ、ゆる白シャツはウエストでキュッと絞る
こちらはカーキと言ってもかなり明るめで、目が詰まった張りのある生地
履きの深いサンダルとかごバッグは夏の名残ながら、やっぱりカーキは「9月」を意識したものに見えた

流行りには疎いのだども、ガウチョパンツ?スカーチョ?(つい「キュロット」と言うてしまう年代)はいつ頃から流行ってたっけ…
多分この時が最速ということはなかろうが、この2人、こなれ感?wというのか、一瞬しか目に入らなかったのに、そこだけ輝いているように見えた

※※※

そう、このブログで描いてる人は、なんかたまたま目に飛び込んできた人たち、大勢の人々が行き交う中で、発光しているかのように見えた人たちである

3年前、物心ついて以来ほとんど行った記憶のなかった熊本市内を見た時、輝くような人たちがたくさんいた
街なかで目を上げれば、夜空にそびえる天守閣が、賑わう街並を守るように見下ろし、繁華街にはエネルギーに満ちた人々が、老いも若きもそぞろ歩きを楽しんでいた
去年寄った時も、大きなアーケードの中はみんな変わらず楽しげで、なんて活気のある、いい街だろうと思った
ものはおいしく、自然が近く、歴史にあふれ、成りものも豊か

あの愛すべき地が、甚だしい震災によって引き裂かれ、大勢の人々が明日をも知れぬ思いで過ごしている
あの地が再び、輝きを取り戻すには、どれほど時間がかかることだろう

でも、それは絶対に成し遂げられると思っている
根拠はないけど、絶対に

今この時のつらさ、苦しさは、当事者ではない私には計り知れないことだと思う
でも、いつか必ず、絶対に彼らは成し遂げる
私はそれを、頭から信じている
あんなに素晴らしく魅力的な街を作り、住んでいた人々が、やり遂げられないわけがない
その力は、絶対に彼らの中にあるし、これから先もどんどん湧いてくると信じている

※※※

東日本大震災から5年経って、SNSも発達した今は、彼の地の現実が毎日のように流れてくる
震災とは何か、その後何がどのように起こるのか、刮目して見る日々
そんな甘い話ではないと分かった上で、あえて

災害は予測できないし、起こってしまえばひとつひとつ、一から丁寧にまた石を積み上げていくことしか、できない
でも、積み上げていけばいつか、積み上がる
そっくり元通り、同じものが出来るわけではないけれど

積み上げる間に何度も訪れるであろうつらさ苦しさを、みんなでなんとか工夫して、上手く逃してかわして
積み上がった時、「これはこれで、バンザーイ!!」と言えたらなあ

メモ